2024年10月 開催報告

・ご挨拶
2024年10月19日、第84回 CUD 友の会がオンライン(ZOOM)にて開催されました。
今回は、色見えにくい、読みにくい「困った!」を解決するデザイン【改訂版】出版記念交流会でした。参加いただいた皆様、ありがとうございました!

・自己紹介(これを書いている人)
CUDO 個人賛助会員の たのすけ です。色覚型は、Da(D弱、2型3色覚)です。
CUD 友の会では、毎回の内容の打ち合わせの準備、進行用スライドのマスタ作成などを行なっています。
時々、司会進行などで表に出てきます。

・内容
まず、私とCUDO伊賀さんからCUD友の会の紹介、簡単な色覚と色弱についての紹介を行いました。
ポイントとしては、
 ・色弱の当事者は男性の20人に1人の割合(珍しい存在ではない)
 ・暗い赤と黒を一緒に使わないようにする(多くの色弱当事者には見分けにくい組み合わせの代表例)
 ・色名は共通言語ではない(人によって色名から想像される色が異なる)

次に、間嶋さんによるご著書の紹介と、実体験によるご経験についてお話いただきました。初版の出版、その反響のご紹介、そして、改訂版に至るまでの経緯を紹介いただきました。本の構成を見開きにし、6人の登場人物の掛け合いでお話しが展開するようにしたことなどの工夫点についても言及いただきました。特にパターンランゲージ、ペルソナ・スペクトラムなどの考え方がベースになっていることなど、とても勉強になりました。職場での資料作成にも役にたつはずです。改訂版の中では、CUD対応チョークなどの初版に入れきれなかった内容も追加されているそうです。

最後に、参加者の皆さんとの交流ということで、コメントや質問をもとに交流しました。
#質疑応答の内容は、私の主観によるものです。ご了承ください。また、太字は、私の感想です。
・デザイナが決めた色を変えたがらないなど、CUDの配色にするのに苦労する
 現場に近い人よりも、決裁権をもつ人(上司、役職に就いている人)の方が、話を聞いてもらいやすい印象。
 決裁権をもつ人(経営に近い人)からすれば、より多くの人にリーチできる方が良いという発想になるため。
 デザインの観点では、そもそもその配色(色)は必要か?といった視点での議論も重要。

 これを聴いて、引き算のデザインというのは色の世界でも重要なのだと感じました。
 色の効果は強いので、つい色に頼りがちになるが、そこで立ち止まって考える勇気が重要なのですね。


・色のシミュレータの結果の判断に不安が残る
 色のシミュレータには、色弱の程度(強、弱)を設定できるので、強のほうで確認する。
 シミュレータの結果、多少は見分けられるでは不足。はっきり違いがわかることが重要。
 他の人にも見てもらうとよい。

 ユーザを想定するのであれば、社内の幅広く協力者を募ってみんなで進めるのがよいと感じました。
 社内の普及、啓蒙活動などで、もし、CUDOの力が必要であれば、きっと力になってくれるはずです。


・CUDについて説明しても、実践しようという行動に移りにくい
 100点(最初から、あれもこれも全部やる)ことを目指すと腰が重くなってしまう。
 お金をかけなくてもできること、少しの手間でできることから、コツコツと積み上げていくことが重要。
 赤を使うならこの赤、と決めておくなど小さな一歩が大事。

 上の質問にも関連すると思います。CUDが色弱の当事者だけのものではない点に注意が必要だと思います。
 色弱というと先天性(生まれながらにもったもの)というイメージですが、事故や病気などが原因で見え方が変わることもあります(後天性)。いつ自分がそうなるか分からないなら、作る時に先回りしておくという発想も重要かもしれません。


・終わりに
 CUDは、カラーユニバーサルデザイン、そして、色のユニバーサルデザインとも呼ばれます。そして、CUD対応を含むアクセシビリティの向上は、なにも知らないままでは、手間のかかる大変なもの、大変なことという誤解のもとで二の足を踏んでしまうかもしれません。ですが、今回、紹介いただいた本の初版の反響にあったという良い意味での「そんなことだったのか!」というくらいに、明日から、いや、今日からでも取り組めるような改善策がたくさんあります。それを、この 色見えにくい、読みにくい「困った!」を解決するデザイン【改訂版】が教えてくれます。
 会社の本棚の1冊に加えてもらい、アクセシビリティの話題がでたときには、ここぞとばかりにこの本をすっと差し出すところから、全てがはじまるのだと思います。私も、月曜日にデザイン関連の業務をしている同僚におすすめしたいと思います。いや、おすすめします。みんなで少しずつ取り組んでいけるとよいですね。
 もし、会社、もしくは、個人でも結構ですので、こういう活動したよ!ということがあれば、当会のXなどへご一報いただけると嬉しいです。
 Let’s enjoy CUD, Let’s enjoy accessibility!

参加いただいたみなさん、ありがとうございました。

・参考URL
今回の友の会で挙げられたURLを可能な限りリストしました。ぜひ、参考にしてみてください。

今回の書籍の紹介ページです。
https://komatta-design.studio.site/

間嶋さんのホームページです。講演依頼もぜひ!
https://mjmj.co/

WCAG2.2のページです。
https://waic.jp/translations/WCAG22/

アクセシビリティに配慮されたwebサイトがまとまっています。
https://www.aaa11y.com/

仙台市のゴミ袋の事例です。
https://www.city.sendai.jp/sesakukoho/gaiyo/shichoshitsu/kaiken/2024/06/04shiteibukuro02.html

困った!を解決するこぼれ話
https://note.com/mjmjsachi/m/mc786518c0ba8

困った!を解決するデザイン展の紹介記事です。
https://press.mjmj.co/2024/05/komatta-exhibition-report/

東洋インキのカラーマネジメントソリューションが紹介されています。
https://www.artiencegroup.com/ja/products/printing-related/

CUD対応チョークを製造している日本理化学工業のホームページです。
https://www.rikagaku.info/items/eyechalk.html

CUDOの発起人の1人である伊藤先生によるホームページです。
https://jfly.uni-koeln.de/colorset/

CUDO(カラーユニバーサルデザイン機構)のHPです。
https://cudo.jp/

CUDOの個人賛助会員によるCUD友の会のHPです。
https://cud.jp/

CUD友の会のX(旧ツイッター)です。
https://x.com/CUD_Exp

・次回予告
11月のCUD友の会でお会いしましょう。connpass での告知をお待ちください。

・アンケートのお願い
参加された方には、ぜひ、参加者アンケートのご協力をお願いします。

以上です。