2024年3月 開催報告

・ご挨拶
2024年3月16日、第78回 CUD 友の会がハイブリッド(対面+ZOOM)にて開催されました。
サイエンス作家の川端裕人さんをお迎えしての交流会でした。
川端さん、そして、参加いただいた皆様、ありがとうございました。

・自己紹介(これを書いている人)
CUDO 個人賛助会員の tana です。色覚型は、Da(D弱、2型3色覚)です。
CUD 友の会では、毎回の内容の打ち合わせの準備、進行用スライドのマスタ作成などを行なっています。
時々、司会進行などで表に出てきます。

・内容
絵本を作った背景、苦労したことなどの裏話を含め、たくさんお話いただきました。
1冊の絵本が出版されるまでに、長い構想期間と絵本のイラストを担当されたイラストレータの中垣さんとのやりとり、専門家への協力依頼、そして、絵本という製品の印刷品質の調整に関するご苦労などなど。特に、絵本としての性質(対象とする読者)と科学的な内容の記述のバランスの取り方に苦労されたといったお話も印象に残りました。こういった「ここでしか聴けないこと」がたくさん伺えました。
交流タイムでもさまざまな感想、ご意見を交わすことができ、有意義な時間を過ごすことができました。

・お話を聴いての感想
特に伺いたかった絵本の出版の背景を伺えたことがよかったです。
大きく3つのポイント(想い)があったように思います。
1)子供など若い世代へ向けての本を出版したい
2)色弱という配慮してもらう側(弱者)であるという色弱へのイメージの転換のきっかけを作りたい
3)色覚検査の結果、色覚異常だと診断された子どもの保護者への啓蒙をしたい

1)子供など若い世代へ向けての本を出版したい
2020年に出版された「色のふしぎ」と不思議な社会(参考URL:1)は、大人向けでした。
そこで、次は若い世代(子ども向け)の本を出したいという想い。

2)色弱という配慮してもらう側(弱者)であるという色弱へのイメージの転換のきっかけを作りたい
職場でも日常生活でも、色弱の当事者は「配慮してもらう」側(まさに弱者)という社会の共通認識から、最新科学による知見から得られた「進化型」というポジティブな認識へ捉え直すきっかけを提供したいという想い。

3)色覚検査の結果、色覚異常だと診断された子どもの保護者への啓蒙をしたい
現在、色覚検査は全員ではなく希望する児童(保護者の同意のもと)に対して行われています。その結果、自分の子どもが色覚異常(色弱)という結果になった時に、保護者が悲しい思い、自分を責めるような思いをしなくてすむようにしたいという想い。

こういった社会(状況)は、過去の大人たちと、今を生きる大人たちが作り上げてきました。
科学、技術の進化と共に、社会(私たち)のもつ感覚もアップデートしていく必要があるようです。
その感覚の中には、AI などの IT 技術への適応や、SDGs、そして、多様性といったものの考え方、捉え方もあるでしょう。そういったものたちの中の1つとして、色覚への考え方、色弱の捉え方もあると考えられます。
ここでは、これらを「色覚観(あるいは、色覚感)」と定義します。

この いろ・いろ 色覚と進化の秘密(参考URL:2) は、親子で読むことを推奨されています。
それは、本作がこの「色覚観」のアップデートのための「種」だからなのでしょう。
次の世代が生きる社会に、この種を芽吹かせるために何ができるか。考えてみたいと思います。

・参考 URL
1)いろ・いろ 色覚と進化の秘密

2)「色のふしぎ」と不思議な社会 -2020年代の「色覚」原論

3)いろいろな人のいろいろな色 色覚多様性をめぐって

・アンケートのお願い
参加された方には、ぜひ、参加者アンケートのご協力をお願いします。

以上です。